本当にあった高齢者の話
私の友達は10年前に結婚をしており、子どもが3人います。現在子ども3人いて、小学2年生、年長、3歳です。会社勤めで共働きをしているため、学童や保育園へ迎えに行った後、夜7時頃に帰宅するそうです。休日は夫婦ともに土日。
結婚当初は旦那さんの母親と同居をしていました。最初は問題なく一緒に暮らしていたそうですが、妊娠・出産を期に育児や生活に関して意見が合わず、段々と折り合いが悪くなっていったそうです。
掃除が行き届いていない、整理整頓ができていない、と毎日のようにチェックされる日々が続き、ストレスが溜まり、5年前ついに同居を解消しました。
車で30分程度の場所に引越しをしたのですが、不仲になってからの別居のため友達はお盆やお正月くらいにしか義母の家に顔を出さず、旦那さんと子どもたちだけが月に何度か遊びに行く生活をしていたそうです。
旦那さんや子どもたちが遊びに行ったとき、義母は何の問題もなく普通に日常生活を送り、子どもたちと散歩をしたりと笑顔を見せていました。
しかし、一昨年忙しい時期が重なり、1ヶ月ほど義母の家に顔を出すことができなかったようです。
そんな時でした。
ある日、旦那さんの携帯電話に「車をどこに停めたか忘れてしまった。迎えにきてほしい」と義母から電話があったそうです。訝しみながらも迎えに行き、事情を聞くと「今日は急いでいたから駅前に停めた気がするのに車がない」というのです。
旦那さんが警察に届け出ると「その車は半月前に事故で廃車になっています」との連絡を受けました。
義母は嘘をついた自覚もなく、嘘をついていたのです。
義母は認知症を発症していました。
事故当時、「息子に知られたら怒られる」という恐怖感から記憶が混同してしまったのではないかという話でした。
3年ほど前から通院もしており、なんとか今まで日常生活を送っていたようです。
そのことに、月に数回通っていた旦那さんも子どもたちも全く気づかなかったのです。
久しぶりに訪れた義母宅は、惨憺たるものでした。
トイレは詰まり、糞尿で床や壁、カーテンは汚れ、キッチンには虫が湧いているのです。
その日から、仕事が終わってから義母宅へ通い、掃除と義母の面倒をみる日々が始まりました。
友人の生活は、ある日突然一変したのです。
うちの親はまだまだ元気だから大丈夫、と安心しているかもしれませんが、友人のように突然介護が始まることだってあるのです。